ああ!かんちがい・・・

ゼロ戦対グラマンワイルドキャットの戦い!

間違いの科学第4巻

 ハチの巣の戦闘機を調べろ!!! 

【余談?・・・ゼロ戦の威力】 
赤間塾のヤナギは戦争が大好きです。 
・・・と言っても「戦争を起こすこと」は大嫌いです。 
好きなのは戦争の歴史を知ることです。戦争は究極の人間ドラマです。
なにしろ命の取り合いです。まさに命がけです。
様々な教訓がちりばめられています。
ヘタな経営学の教科書や教育ハウツー本なんかよりもずっとためになります。 
それで赤間塾のヤナギは小学生の時から「サンケイ・ソノラマシリーズ」や雑誌「丸」を読むのが大好きでした。(どちらも戦記物です) 
じつは太平洋戦争初期の半年間、アメリカ陸海軍は日本海軍の戦闘機ゼロ戦(正式名称零式艦上戦闘機)に一方的にやられっぱなしでした。
もう本当にあきれるぐらいのワンサイドゲームです。 
そこで、アメリカ海軍の調査チームは前線の航空基地にやってきて、ゼロ戦に撃たれてハチの巣になって帰ってきたアメリカ海軍の戦闘機グラマンF4Fワイルドキャット(タイトルの写真参照)の機体を調べました。 
アメリカは情報収集にかけては今も昔も”鬼”です。 
どこにゼロ戦の機銃の弾丸が当たっているのか確認して、「当たった部分に装甲をつけよう」といったもくろみです。 
なるほど、なるほど合理的です。 

【ハチの巣の戦闘機は幸運だった!】 
しかし、合理的ではなかった!間違いだった!
穴だらけのハチの巣のワイルドキャットはただ、ただ幸運だっただけなのだ! 
そう、幸運でなかったワイルドキャットは帰ってこなかったのです(合掌)。 
つまり、ゼロ戦に急所を射貫かれたワイルドキャットは基地に帰ることはできなかったはずです。 
それならば、帰ってきた幸運な穴だらけのハチの巣のワイルドキャットの穴のないところに装甲をつければいいのです。 
発想の転換ですね。アメリカ海軍の調査チームにはかしこい方がいたものです。この点、日本陸海軍は情報に関して、さっぱりでした。 
その後、対策をほどこし装甲を強化したワイルドキャットは猛威を振るうことになります。パイロットの腕は日本海軍のゼロ戦の方がはるかに上だったのですが、へたくそなパイロットが乗ったワイルドキャットは撃っても撃っても墜ちません。適切な部分に装甲を強化していたからです。 
だんだんと戦争の勢いはアメリカの方に傾いていきます。 

【生存者バイアス】 
上記のような間違いを「生存者バイアス」といいます。 
戦争や災害などでは生存者の証言だけが残り、それが基準になりがちです。
しかし、死亡した人の話を聞くことはできないので、実際には生存者の証言がどのくらい妥当なのかわかりません。 

【生存者は成功者?】
どうしても成功者の話がとり上げられます。テレビの中の人は一人残らず成功者です。書店で平積みになったベストセラーの自叙伝やハウツー本はみんな成功者が書いてます。
かがやいてます。カッコいいです。
しかし、ここは落ち着きましょう。幸運な方(成功者)の話はあまりあてにならないということです。バカ正直にまねをしていいのでしょうか。
それよりも埋もれてしまった失敗談こそ宝物ではないでしょうか?
しっかり科学的に分析してじっくり考える習慣が必要だと思いませんか?

(Newton2022年5月号P99)
(間違いの科学終了)